Color of Paimio

アルヴァ・アアルトとアイノ・アアルトが設計を手掛けた「パイミオ サナトリウム」の建物内を歩いてみると、その至る所で鮮やかな色使いが目をひきます。フィンランド南西部、パイミオ市の森の中に建設されたパイミオサナトリウムは、結核患者が療養する「医療施設」として 年に竣工した後、現代においてもモダニズム建築の代表として高く評価されています。患者の身体と心を「癒す」という目的をさらに助長するため、インテリアには驚くばかりの多彩な色の組み合わせが選ばれ、建物のあらゆる場所、あらゆる機能にまたがり絡み合うように配されました。

パイミオサナトリウムのカラーパレットは、壁画やステンドグラスのアーティストとして知られるエイノ・カウリアとの協働により選ばれました。ロビーや階段のゴム製の床は、患者の回復に不可欠な太陽の光を建物内に迎え入れるという構想に基づき、輝くようなカナリアンイエローに塗られました。食堂の天井や読書室、ラウンジ、病室に配された多彩なニュアンスのグリーンとブルーは、ベッドやラウンジチェアに横たわる患者の周囲に穏やかで平和な雰囲気を作り出します。ラッカー仕上げを施した滑らかな壁や天井の表面は、松や白樺の木々の間を抜けて差し込む柔らかな木漏れ日を反射しています。
廊下の手すりも判別しやすい色に塗られ、さらに、階段、エレベーターリフト、暖房器具などもまた、機能や要素ごとに大胆に色分けされました。鮮やかでも柔らかでも、色にはその場に合わせたそれぞれの意味合いと目的が込められていました。その結果、大らかで、快適な構造が生みだされ、そのすべてが患者の身体と精神を回復に導く効果を計算して設計されています。