CH23 -木工技巧に溢れるディティール-
家具デザイン界の巨匠、ハンス J. ウェグナー。シンプルさと優美さを極め、斬新かつ考え抜かれたデザインで世界的に知れられています。初期の頃から木材の持つ資質と可能性に注目。独自のデザインを生み出してきました。その初期の名作といえるのが、シンプルでありながら、ディテールに凝ったダイニングチェアCH23です。
1950年から生産されましたが、50年以上に渡り生産されていませんでした。しかしながら、発表と同時に、そのシンプルな独特の形状表現とウェグナーの職人技巧への造詣が見事に融合した椅子として高い評価を得ていました。そこで2016年に復刻販売を開始。
ウェグナーのデザインの中でも最もウェグナーらしいと言える、アームレスダイニングチェアCH23。背に施された埋木の形状、美しくダブルで張られたペーパーコード、そしてこの椅子に安定性を与える弧を描く後ろ脚と、随所にウェグナーらしい独特の意匠が散りばめられています。一見すると何も変哲のないシンプルな椅子ですが、よくみるとディテールに凝っていることがわかります。例えば、クラフトマンシップが映える埋木が美しい、曲げ木技術を応用した背もたれ。ウェグナーは成形合板の使用により、フレームとのコントラストを強調しています。
ディティール
木材とペーパーコード、CH23の素材はすべて天然素材。2本のペーパーコードで張った座面は当時、簡単には製作できませんでした。独特の技巧と高い職人技術が求められました。しかし、完成した座面は優美で強度に優れた製品です。特に座面は、135mのペーパーコードを、熟練した職人が90分近くかけて編み上げています。