Bodil Kjaer / ボーディル ケア
数多くの家具デザインを残すボーディル・ケアは、常に家具を建築の一部と捉えていました。ケアにとって、家具は空間を彩るオブジェではなく、その機能性、経済性を追求し、美的に表現したものです。

1932年~。
1932年、デンマーク、ホーセンスの代々受け継がれた農家に生まれたボーディル・ケア。質や美しさ、そして自然を尊ぶ一方、社会の動向にも大きな関心を寄せる家庭に育ちました。学校を終えるとケアは、渡英。英国家具に遭遇し、家具そしてデザインに関心を持つようになります。帰国後、建築を学ぶつもりだったケアは、英国での体験からFrederiksberg Technical College と School of Interior Designでインテリア・デザインを勉強。フィン・ユール、ヨルゲン・ディッツェルなど名だたる講師陣のもとで空間デザインを学んでいきます。

American Scandinavian Foundationを通じて、ケアは米国に留学。2年間デザインをさらに学びました。数多くの家具をデザインしたのもこのこの時期。自身の家具をすべて、住宅用の什器と見なしていました。ケアは機能性、経済性、美しさを重視したものの、彫刻的な芸術要素を家具には求めていません。家具をいかに構築していくかを優先し、フォルムよりも、純粋に技術面から家具デザインを追求したデザイナーでもあります。

1960年、米国から帰国するとケアは自身のデザインスタジオをコペンハーゲンに開設。ショールーム、オフィスのデザイン、そして展示会と活動の場を広げていきます。デザインスタジオを開設してから5年後の1965年、ケアはブリティッシュ・カウンシルの奨学金を獲得。デンマーク王立芸術アカデミー、さらにロンドンの英国建築協会付属建築学校で学ぶ機会を得ます。英国滞在中にケアは、数多くの新しいデザインや建築のコンセプトに遭遇する機会を得ます。結局、ケアはARUP社のシニア設計士として、1979年まで英国に滞在。英国、イタリアのオフィス、工場、大学などのプロジェクトを担当していきます。また、数人のイギリス人、イタリア人のエンジニアと共同でデザインスタジオを設立。アフリカの熱帯地方おいて、太陽エネルギーで空調する住宅プロジェクトなども手掛けています。