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String Furniture

String Furniture / ストリング ファニチャー

北欧に根付くスタイリッシュなシステムシェルフ

スウェーデンの建築家ニルス・ストリニングによって考案された壁掛け収納、ストリング。シャープなつくりですが、しっかりした容量が入る立派な収納です。棚板の高さ調整も可能、引き出しやデスクとしても使えるシステムシェルフです。

ストリングについて  すべては発見とコンペから始まりました。

1949年、スウェーデンの大手出版社ボニエールがシェルフコンペを実施しました。これからの時代、書籍が身近なものとなり、人々が多く本を買い求めるにつれて収納棚が必要であると考えられたからです。
応募者は世界中から194組集まりました。ニルス・ストリングの考案した製品はシンプルかつ軽量、薄型梱包が可能で運送費の削減につながり、組み立てが簡単、装飾のない棚板は手軽に移動することができ、書籍はサイドパネルによってしっかりと固定可能。上下左右のパーツを連結できるので、壁面のスペースに応じて機能的に配置でき、はしご状になったサイドパネルは一本一本を細くして、見た目の美しさにもこだわったものでした。さらに多彩なカラー展開により、インテリアに合わせたコーディネートも思いのまま…。
このような数々の優れた点から最優秀賞を獲得し製品化が決定、同年ストリング シェルフが誕生し、今日も世界中で愛されています。

ALL BOOKS AND NO SHELVES | 本ばかりで棚がない

1940年代後半、スウェーデンでは膨大な数の本が販売されていました。どんなに小さな町にも書店があり、企業向けに訪問販売が行われていました。家の中は本で溢れていました。そこで⼤⼿出版社のボニエールは、ブックシェルフのコンペを実施し、壁に取り付けられ、拡張可能で、収納スペース全体が少なくとも 2 メートルある、手頃な価格の全く新しい本棚を求めました。


NISSE STRINNING | ニッセ・ストリニング

この頃、ストックホルムに住む若手建築家ニルス・ストリニングは、そのキャリアをスタートしたばかりでした。とは言え、すでに多くの経験を積んだ建築家として活躍していました。しかし実のところ、ニルスの興味関心は日々の暮らしに大きな影響を与えるような、小さなものをデザインすることでした。彼は子供の頃、自分で本棚をデザインし、組み立てまで行っていました。大人になった彼は、その本棚を再構築するのに必要な、理論的知識と実践的な経験をすべて持ち合わせていました。そして、手頃な価格、省スペースで、あらゆるサイズに拡張可能なオープンシェルフを完成させました。つまりニルスがボニーエルのシェルフコンペのことを知ったとき、実はすでにStringのアイデアはほぼ完成していたのです。


KAJSA CRACKS THE DETAILS | カイヤが詳細を詰める

この時点で、ニルスの妻で建築家でもあるカイサのことを言及しない訳にはいかないでしょう。彼女なしに、Stringはプロトタイプのレベルを超えることができなかったかもしれないのです。カイサは夫とは異なり、ニルスの未完成デザインを洗練させる芸術的才能と、本棚の構築に必要な、詳細な設計技術を作成する力を持っていました。夫婦はともに協力し、勝利チームを結成することとなったのです


CHILDREN OF THEIR TIME | 当時の子供たち

多くのイノベーターと同様に、ストリニング夫妻も社会と隔離して活動したのではなく、当時の強力な時代の流れが追い風となり前進してきました。第二次世界大戦後の時代は、強い楽観主義が特徴でした。すべてが可能に思えた時代でした。ペニシリンは伝染病治療に、プラスチックは日常生活に革命をもたらしました。LPレコードとトランジスタラジオが発明されました。フィアット、フォルクスワーゲン、ボルボ、サーブは小型で手頃な自動車を発売し、庶民が車を所有するという夢を実現できるようになりました。パリではディオールの「ニュールック」がファッション革命を引き起こしました。家具の世界では画期的なデザインが爆発的に誕生しました。例えばアメリカのチャールズ&レイ・イームズ夫妻は「できるだけ多くの人に最高のものを手頃な価格で提供する」という野心を表明し、アイコニックなエッフェルベースを備えたファイバーグラス製チェアを考案しました。イタリア出身のハリー・ベルトイアは、そのアイデアを極限まで、ダイヤモンドワイヤーアームチェアに取り入れました。


MAKING GOOD DESIGN AFFORDABLE | 優れたデザインを手の届くものに

国民の日常生活の改善に関しては、スウェーデンは時代の先を行っていました。衣類メーカーH&Mが設立された1947年、ストックホルムにある大手百貨店NK(エヌコー)に初のホームインテリア部門が開設され、若者に愛される新しいデザイン美学が紹介されました。先進的な次世代の暮らしをより豊かにする手頃な価格の日用品という、現代の理想を反映した大量生産の新製品が数多く登場しました。


STRING WINS THE CONTEST | ストリングがコンテストで優勝

1949年の秋、ニルスとカイサのシェルフがボニエールのシェルフコンテストで 1 位を獲得しました。ブルーカラーのウォールパネルにパイン材の棚で作られたそのデザインは、ヨーロッパ、アメリカ、さらには遠くオーストラリアから出品された 194 の応募作品の中で見事グランプリに輝きました。わずか 1点の小さなデザイン変更がされただけで、すぐに生産開始となりました。


AN INGENIOUS CONSTRUCTION TURNS INTO SUCCESS | 独創的な構造が成功に変わる

最初のシェルフの構造はシェルフ、ウォールパネル、ブウラケットという単純な3 つの要素に基づいていました。棚板の寸法は幅78cm、高さ75cm、奥行き20cmでした。それは現在も変わりません。つまり1949年のStringと2024年のStringを組み合わせることができるということです。発売から数か月後、 Stringはスウェーデン全土に知られるようになり、1 年も経たないうちに 40,000 システム以上が販売されました。ニルスはそのお金で「タイプライターと車」を購入しました。彼はオリベッティ タイプライターとスタンダード・ヴァンガードを選びました。


INTERNATIONAL SUCCESS | 国際的成功

それから数年間、Stringはインテリア デザイン誌、見本市、その他の重要な展示会に登場するようになりました。スウェーデンでは引き続き売れ行きが好調で、その人気はヨーロッパの他の地域やアメリカ、南米にも広がりました。Stringはニューヨークの国連本部のオフィスでも使用され、1954年にはミラノトリエンナーレでゴールドメダルを受賞しました。1955年の夏、国際見本市H55がスウェーデンのヘルシンボリで開催され、スウェーデンをはじめデンマーク、ノルウェー、フィンランド、フランス、スイス、イギリス、西ドイツ、日本の9か国が参加しました。ストリニング夫妻はこの「未来の住宅とインテリア デザイン」展の一環として、彼らのデザインラインナップに、いくつかの新しい製品を発表する機会を得ました。これらリミテッドエディションのテーブル、チェア、ソファはすぐに人気のコレクターアイテムになりました。


THE GREATEST FORM OF FLATTERY | 最高の賛辞

1950 年代の多くのデザインと同様に、当時はStringに特許や著作権による保護がされておらず、Stringの成功を受けて数多くの模倣製品が世に出回りました。彼らのデザインが法的に保護される1961年までに、ニルスの弁護士は世界中から多かれ少なかれ、確実に盗用されたデザインを 100 件以上収集しました。よく言われるように、コピーは最高の賛辞です。


FROM DURABLE TO DISPOSABLE | 耐久性から使い捨てへ

1970年代初めごろ、Stringに対する熱は下火になりました。モダニズムはポストモダニズムに取って代わり、シンプルさや真っ直ぐなライン、オープンスペースは、より丸く、より明るく、より低価格に変化していきました。消費者は使い捨て製品に惹かれましたが、それは世代から世代へと受け継がれ、家のどの部屋にも使用でき、耐久性のあるStringとは大きく異なりました。Stringの売り上げは減少し、かつてはリビングルームを「モダン」にしていたシェルフは、子供部屋やガレージの倉庫脇に追いやられてしまいました。


MODERNISM MAKES A COMEBACK | モダニズムの復活

1980年代初頭、モダニズムが復活し始めました。家具愛好家やオークションハウスは、アルヴァ・アアルトの曲げ木に対する関心が高まっていることに気づきました。機能主義が注目され、イームズやデンマークの黄金時代を担うウェグナー、ヤコブセン、ケアホルム、そしてもちろんカイサとニルス・ストリニングのStringに新たな関心が生まれました。1985年、スウェーデンのオークションハウスBukowskisは、ニルス・ストリニングの展示会を開催するという大胆な決断をしました。Stringのような誰もが知る日用品が、なぜクラシックデザインに分類されるのか疑問に思う人もいましたが、Bukowskisの直感は正しかったのです。すぐにStringはデザインコレクターの間でアイコニックな地位に達したことが知られると、デザイナー夫婦は新たな脚光を浴びることとなりました。


OPPORTUNITY KNOCKS | チャンス到来

2004年11月、ウルリカとペーター・エーランソンはスウェーデン南部に小さなデザインショップをオープンしました。そこに来たある客が「Stringを知っている人はいるか、知っているならどのように手に入れることができるか」と尋ねてきました。オーナー夫妻にはその答えが分かりませんでしたが、その質問は興味深いものだと感じました。早速ペーターが調べてみると、Stringの生産は停止され、工場が破産宣告されていることを知りました。

ペーターはふと思いつき、破産管財人に連絡して、製造を再開できるかどうか、またいつ再開できるかを尋ねました。と同時に、Stringの製造権を引き継ぐことができるかどうかを聞いている自分に気づきました。管財人は彼をニルス・ストリニングに紹介することにしました。話が進む前にペーターは、長年の友人ペール・ヨセフソンに連絡して、二人は共にそのチャンスを追求することに同意しました。

数週間後、ペーターとペールはストリニング夫妻の家を訪れました。ペーターは夫妻の家が遠くからでも見え、庭にはアート作品がたくさんあったことを今でも鮮明に覚えています。ニルスはスケッチやプロトタイプとともに2階に住み、カイサは自分の図面とともに1階に住んでいました。しかしその日、2人のカップルは「S-T-R-I-N-G」というアルファベットを型どった巨大なサフランパンを焼いて、一緒に迎えてくれました。


"THE BOYS" TAKE OVER | 「少年たち」が引き継ぐ

2004年、カイサとニルスが愛情を込めて「ザ・ボーイズ」と呼んだペーターとペールは、世界に向けてStringを製造、流通、販売する権利を獲得しました。4人全員が取引について握手を交わしました。String Furnitureが設立され、新たな章が始まりました。翌年、モダンなオールホワイトの新しいシリーズが、ヘルシンボリで開催された見本市 H05で発表されました。そこは50年前にオリジナルデザインが大きな注目を集めた時とまったく同じ場所でした。Stringの馴染みある形は、クラシックであると同時にモダンであるように感じられました。


THE LEGACY LIVES ON | 遺産は生き続ける

現在、Stringはあらゆるアイテムで構成されており、無限のコンビネーションを作ることができます。年々新しいカラーや素材、アクセサリーが少しずつ追加されてきました。それらはニルスのアーカイブからアイデアを複写したものもあれば、現在活躍中のスウェーデン人デザイナーによって新たにデザインされたものもあります。Stringの組み合わせは、世代から世代へと受け継がれるたびに、絶え間なく変化し、新たな組み合わせで使われていますが、シェルフ、ウォールパネル、ブラケットの基本構造は1949年のオリジナルのままです。

String Furnitureはヨーロッパ、アメリカ、アジアで成長を続け、現在48か国で販売されています。製造は1949年と同じように、今もスウェーデンで行われています。ウォールパネルはシェルフの製造場所からわずか数キロ離れた立地にあります。そしてこのような効率の良い場所で、すべてが梱包され、世界中に出荷されています。

ニルスは2006年に、カイサは2017年に亡くなりましたが、彼らのデザインは今も生き続け、成長し続けています。今年(2024年)Stringは誕生から75周年を迎えますが、これからも何千もの組み合わせが、生まれていくことでしょう。


ストリング ポケット
ストリング ポケット

Nils Strinning (ニルス・ストリニング)

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スウェーデンの建築家、ニルス・ストリニング(1917-2006)は、20世紀を代表する建築家で、現在の「北欧デザイン」と呼ばれるスタイルの創始者の一人です。
ニルスは1949年に、String(ストリング)をデザイン。エンドレスに繋げられる連結の仕組みを作り上げました。
発売とともに多くの人々に受け入れられ、スウェーデンで最も愛されるブックシェルフとなったString(ストリング)はあらゆる可能性のある家具です。
キッチン、バスルーム、図書館、ラウンジでもその良さを発揮。誰でも自分らしくカスタマイズして楽しむ事ができます。
誕生から70年以上たった今でもスウェーデンで製造され続けている、時代に左右されないタイムレスデザインです。

シミュレーションアプリを利用して、好みの組み合わせをデザインしましょう

ストリングシステム

ストリングのシミュレーションアプリを利用して、好みの組み合わせをデザインしましょう。ドラッグ&ドロップで多彩なカラー、パーツ、サイズから自分だけのストリングを短時間で作成できます。デザインを保存しておけば、センプレ各店での購入や相談にも便利です。
※詳細はストリングのホームページにリンクします。

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THE STRING APARTMENT

ストリングシステム

2016年10月28日〜11月3日に開催された、『THE STRING APARTMENT』 ライトボックススタジオ青山を一つのアパートとし、そこに住まう住民たちの各部屋にストリングを取り付け、それぞれの個性豊かなストリング シェルフのある暮らしを提案しました。

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