Domus Chair Limited Edition / 限定ドムスチェア
これまで作られてきたアーカイブから着想を得て、種類の異なる木を組み合わせた「ドムスチェア」の特別版。一脚のドムスチェアの中で、フィンランド産の白樺・バーチ材と、北米産の楡(ニレ)の木・エルム材が個性を活かし合う様は、まるで「木と木の対話-Wooden conversation」そのものです。木目模様が特徴的なエルム材を座席と背もたれに、「ブロンドバーチ」とも称される明るい色の滑らかなバーチ材を椅子のフレームに使用した特別版のドムスチェアは、1946年からドムスチェアを製造し続けるフィンランドの工場で、熟練した職人の手により生産されています。
ドムスチェアとは

一見何の変哲もない木の椅子が国際的なベストセラー商品になった物語。それは、デジタル化が進み、世界中の国と国、人と人が近付いた現代から70年以上も昔、1940年代の頃のこと。
1938年、イルマリ・タピオヴァーラは、ロンドンやパリでの経験を経て、ヘルシンキの北にある大手家具メーカーのアートディレクターに就任します。しかし、ほどなくしてソ連がフィンランドに侵入し、第二次世界大戦へと突入します。戦時中の東部戦線で、彼は限られた道具と資材で兵士のための施設や家具の製作を担当。この経験を通じて、いかに最小限のリソースで最大の快適性を生み出すことができるのか考えるようになります。

ドムス チェアは当初、寮に暮らす学生たちが部屋で本を読むための椅子でした。そのため、長時間机に向かっても疲れにくく、軽量でスタッキング可能といった機能面も考慮されています。小さく突き出た特徴的なアームレストは、肘置きとしての役割を果たしながら、テーブルに椅子を引き寄せやすいようにとデザインされたものです。イルマリ・タピオヴァーラは、より身体のラインに添うよう、三次元にカーブを描く座面を積層合板で成形する技術を開発しました。だからこそ、この椅子は座り心地がいいのです。

ドムスチェアは、フィンランド生まれの家具として海外にも多く輸出され、高い評価を受けました。イギリスでは「スタックス」、アメリカではノル社が「フィンチェア」という名前で販売。1951年に開催されたミラノトリエンナーレでは見事金賞を受賞し、タピオヴァーラの名前も一躍世界中で知られるようになります。ドムスラウンジチェアとともに、2010年、アルテック製品に加わり、現在はさまざまな仕上げ、素材、張り地のバリエーションが揃っています。