「白い街」にオマージュを捧げた限定モデル
アルネ・ヤコブセン生誕120周年を迎えた今年、彼が手掛けた建築群「白い街」にオマージュをささげた限定モデル「BELLEVUE(ベルビュー)」が登場しました。ケース、文字盤、そして針に至るまで白で統一し、ヤコブセンが愛した「白」の美学を体現した特別なデザインです。
このモデルは全世界で初回生産2000台のみの限定生産。次回生産は未定のため、コレクターズアイテムとしても価値ある一点です。
ディテール
ケースは、これまで約15年のブランド展開の中で使用されたことのないマットホワイトを採用。文字盤から針、インデックスに至るまでホワイトで統一され、建築的でミニマルな表情を演出します。
また、1937年のテキサコ・ガスステーションに使用されている灰色がかった白いセラミックタイルを参考にホワイトとグレーのコントラストを実現。時計としての視認性も確保しています。
アルネ・ヤコブセンの白い街
1930年代、ヤコブセンはデンマーク北部のベルビュー・ビーチ一帯で大規模なリゾート開発を手掛け、4つの象徴的な建築を完成させました。
白い外観、機能的なレイアウト、キュビズム的な形状を特徴とする建物群は、「アルネ・ヤコブセンの白い街」と呼ばれ、今なおデンマーク機能主義建築の傑作として高く評価されています。
①ベルビュー・ビーチ・バス(1932年)
ベルビュービーチにあるライトブルーラインが印象的なライフガードタワーの1つ。
1930年代にアルネ・ヤコブセンが設計した建物や施設があるベルビューエリア。右側にはベルビュー劇場があります。
②ベラヴィスタ集合住宅(1934年)
どの部屋からも海が見えるという特徴があります。白壁はレンガに白い漆喰が塗られています。
③ベルビューシアター(1936年)
ベルビューシアターは、アルネ・ヤコブセンが床から天井まで建物を設計した最も初期の例の1つです。
④テキサコ・ガスステーション(1937年)
1937年からは、ベルビュービーチパークのすぐ南にあるこのガソリンスタンドでタンクを満タンにすることができました。
日が沈んだ後には特別に設計されたアップライトで照らされ、その光沢のある下側が光を反射して構造全体を巨大なランプに変えます。
本館は、シンプルな模様の灰色がかった白いセラミックタイルで覆われています。
ヤコブセンは幼少期、自分の寝室のビクトリア朝の壁紙を白く塗りつぶしたと言われています。現代では違和感なく捉えられるホワイトの壁ですが、20世紀初頭ではまだ流行しておらず、彼が幼少期から持ち得ていた先見の感性を物語っています。
それは数十年の時を経て、「アルネ・ヤコブセンの白い街」と呼ばれる建築群に繋がるのかも知れません。