木工技巧に溢れるディテール
家具デザイン界の巨匠、ハンス J. ウェグナー。シンプルさと優美さを極め、斬新かつ考え抜かれたデザインで世界的に知れられています。初期の頃から木材の持つ資質と可能性に注目し、独自のデザインを生み出してきました。その初期の名作のひとつといえるのが、この「CH23」です。
シンプルでありながらディテールに凝った造形が魅力で、50年以上にわたり生産されていなかったものの、2017年に復刻されました。
座面はCH25と同様に縦横の平編みペーパーコード仕様。特に前座枠を緩やかに湾曲させることで、座った際に大腿部を優しく包み込むような座り心地を実現します。ペーパーコードは135mにも及び、熟練職人が約90分かけて丁寧に編み上げています。
ディテール
一見すると何も変哲のないシンプルな椅子ですが、ディテールにもウェグナーらしい独特の意匠が散りばめられています。
例えば、背に施されたクラフトマンシップが映える埋木や、曲げ木技術を応用した背もたれ。ウェグナーは成形合板の使用により、フレームとのコントラストを強調しています。
また、脚先や貫など全体のデザインは丸みを帯びていますが、ひねりを伴いながら湾曲するシャープな後脚が全体を引き締め、ウェグナーらしいメリハリの効いた美しさを生み出しています。
The First Masterpieces
1949年、カール・ハンセン&サンは、クラフトマンシップを大切にしながらも機械加工を大胆に取り入れることで、質を落とさず市民のための家具を作ろうとしていました。その頃、経済的にはまだ成功していなかった新進気鋭のデザイナー若きデザイナー、ハンス・J・ウェグナーと出会い、わずか3週間で5つの椅子をデザインしました。
この5つが「CH22」、「CH23」、「CH24」、「CH25」、「CH26」。カール・ハンセン&サンにとって最も重要なマスターピースです。
CH24とCH25は発売以来一度も途切れることなく生産され、さらに2016~2017年に他の3つも復刻されたことで、再び5つすべてが現行品として揃いました。これらの椅子は、カール・ハンセン&サンを知るうえで欠かせない存在であり、ウェグナーのデザイン哲学を体現するものです。
掲載の無い仕様につきましては、こちらよりお問い合わせください。