【第二弾】LAFABLIGHT インタビュー
フランスのクラフトマンシップと美学を体現する〈LAFABLIGHT〉。
今回、CEOロラン氏とPR・マーケティング担当ヴェロニク氏が来日し、ホームステッド入江氏の協力のもと、特別なインタビューが実現しました。
第一弾では、ブランド名に隠されたストーリーやプロダクト誕生までの道のり、素材とデザインへの深いこだわりについて。
第二弾では、彼らのデザイン美学と未来への展望、そしてフランスのトレンド事情に迫ります。
デザイン美学、哲学、モノづくりについて
Q:モノづくりにおける美学についてお聞かせください。
入江:彼らのフィロソフィーの部分では「スローデザイン」を掲げています。スローデザインというのはもともとはイタリアから来た考え方です。1970年代に「スローフード」という考えがイタリアで生まれました。当時のイタリアはいろいろな国や地域から様々なものが入ってきていました。例えば、イタリアではオリーブオイルよく使いますが、スペイン産のものが多かったり。それに対して多くの人が危機感を持っていました。
スローフードは「pazienza」という言い方もされていて、「我慢」という意味です。どういうことかというと、すぐにいろいろなものを手に入れるのではなく、時間がかかっても自分で種を植えて、芽が生えて、という工程から始めて、確実に自分で摘んで食べるということ。この考えが食べ物だけでなく他の分野に派生していきました。また、このようにコンパクトに生産することがサスティナビリティへと繋がっていきました。
LAFABLIGHTの場合、1つの照明は、職人が約3時間かけて、150mもの長さがある糸を轆轤(ろくろ)のように回しながら丁寧に編み上げています。木を選び、糸を選び、さらに照明を編み上げるというように、時間をかけないと1つのプロダクトデザインが完成しません。これがスローデザインというバックボーンがあるからこそ生まれた製品であり、彼らのフィロソフィーです。
現在工場では5人の職人がLAFABLIGHTを作っています。様々な形に対応しながら張っていくのは結構大変な作業です。時間がかかることですが、年間4000個ほど作っているそうです。その5人の職人は、ペンダントもテーブルランプもどの形でも作ることができて、内製化して製造しています。
Q:どのようなとき、あるいはどんなものからインスピレーションを受けてアイデアを思いつきますか。散歩しながら~や自然を見て~など。
ヴェロニク:デザイナーのシリルは、日常のあらゆる物にデザインが活かされていることに感銘を受けています。花瓶やカップなど、あらゆる物の形を見ているだけで、様々なアイデアやパッションが湧いてくるようです。形そのものがインスピレーションの源になっています。彼は世界中のデザイン文化、デザイナーに深い知識を持っているので、何かものを見るとそのデザインがどうなっているのかを紐解いていってしまいます。そして常に新しいアイデアを探求し続けています。
入江:ちなみに彼(シリルさん)は今62歳だそうです。

左側がシリルさん、右がロランさん。シリルさんはデザイナーとして、エディトリアル、インテリアなど、幅広い領域で活動されています。
Q:LAFABLIGHTにおいて最も大切にしていること、意識していることはなんですか。
ヴェロニク:デザイナーにとって重要なのは、形を考えるときに、形そのものが心地よいものであることです。ただし、主張しすぎて空間を圧迫してしまってはいけません。物の形は、空間を“反空間(アンチスペース)”のように支配してしまうことがあります。
私たちの照明は、素材感や質感、そしてシェードに特別な(ブレイディングの)要素を与えることで、空間の中で心地よく、バランスが取れ、滑らかな存在になります。
主張しすぎない自然な馴染み方がLAFABLIGHTの魅力で、これが私たちのランプシェードを考える上での主なポイントです。
Q:サスティナビリティへの考え方を教えてください。
ヴェロニク:森は、私たちにとっても、あなた方にとっても強い象徴です。なぜなら、自然は守るべき大切なものだと私たちは考えているからです。現代の暮らし方を考えると、その重要性はますます高まっています。
私たちが自然素材を選ぶときは、できるだけ工房に近い場所から調達するようにしています。それは、環境、素材、そしてそれに関わる人々すべてに敬意を払って選ぶということです。
入江:サスティナビリティというのはリサイクルなどの意味もありますが、なるべくコンパクトにプロダクトを動かすという意味もあります。例えばトラックに物を乗せて運ぶと排気ガスなどが排出されることになります。だから基本的にはローカルで完結させたいので、なるべく国内だけで手配できる素材を調達して製品を作るということをサスティナビリティと表現しています。先ほどのスローデザインの話に繋がりますね。
Q:フランスはリペアができることが法律化されたと聞いたことがあります。
ロラン:様々な程度(レベル)での法律は存在します。多くのブランドが「サステナブル」と言っていますが、実際にはそうではありません。
だからこそ、私たちはそれが本当であることを確認するためのラボを作りました。私たちの取り組みの品質と信頼性を保証するためです。
入江:サスティナビリティと呼べる条件の程度がいろいろあるので一概にすべての企業あるいは商品がそうであるとは言えないところがあります。彼らはローカルで完結させているという意味でサステナブルといえます。
ビジョンとこれから
Q:2021年にスタートし、今振り返ってみて、当初のビジョンと現在の姿にどのような変化や発展を感じていますか。
ヴェロニク:現在の状況が、私たちの(過去にした)選択を後押ししてくれています。手仕事にこだわること、自然素材にこだわることは、とても大切です。人々は長く使えるもの、自分の子どもにも受け継げるようなものを求めていると思います。使い捨てのようなクイックなものではなく、サステナブルで意味のあるもの。それが私たちの考えです。
ご存じの通り、ブレイディングは、私たちのデザインの象徴的な表現です。今のデザイン哲学を体現しているこのスタイルを、これからも大切にしていきます。今後、さまざまな形のランプシェードにも挑戦していきますが、このスピリットは変わりません。
そして、私たちはクラシックな製品ラインも持っていますが、建築家向けに特別注文も承っています。ご希望のランプシェードのサイズを指定いただければ、住宅やあらゆるプロジェクトに合わせてオーダーメイドで製作することが可能です。
入江:彼らのフィロソフィーをもってスタートしたことに対して、初めからお客様から共感する声が得られたことはとてもうれしかったそうです。
ブレイディングで囲んだ照明は他にないので、これを1つのシグネチャーとしてより多くのお客様にフィロソフィーが伝わるように拡大していきたいと考えています。
また、フランスではどちらかというと建築関係の方や会社など、法人用のカスタマイズが全体の7割くらいを占めています。日本では、僕ら(ホームステッド)みたいに彼らのコレクションをストックしてお客様に提供していくことが多いんですけど、彼らのビジネスは逆で、お客様のニーズに沿ってそれを一つ一つカスタムで作っています。
Q:OEMでつくることもできますか?
ロラン:はい。糸の太さなども作るものの大きさによって選ぶことができます。
入江:例えば以前作った例では、1本の糸のブレイディングをトリコロールカラーで作ったこともあります。他にも、黒い糸で作ってほしい、とか、木枠を増やしてほしいなどの要望にも対応できます。もちろん素材はすごくこだわっているので、例えば糸であれば、フランス中西部の糸屋さんから仕入れをしており、そこにお客様の要望に合う素材があれば作ることができます。
僕(ホームステッド)への依頼で、個人のお客様でしたが丸型のASTROFIという形で倍のサイズが欲しいといわれたことがあります。実際作ることができて納品しました。まず3Dで設計することもできるので作りたい形などがあればオファーできます。
オリジナルのものを作るとなると試作は必要になります。作りたい形でちゃんとテンションが張れるのかなど検証をします。これも手作りで照明を作っているからこその強みです。


こちらがASTROFI。日本ではφ47㎝の大きさが販売されています。
Q:今後、新しいシリーズやプロダクト展開の構想があれば、少しだけ教えてください。
ロラン:私たちはたくさんのアイデアを持っていて、次のラインナップに何を加えるかを決めなければなりません。
ヴェロニク:最近では、直径1mほどの大きなボール型のリクエストをいただいています。ヨーロッパ市場、特に大きな住宅、個人邸宅、オフィス、大企業の空間などからの需要が高まっています。
そうしたお客様は、自分たちだけのカスタム照明を作りたいと望んでいます。
私たちのシステムの大きな魅力は、さまざまなランプシェードを自由に組み合わせて、完全にオーダーメイドの照明を作れることです。すべてのシェードは他のものと組み合わせができるので、自分だけのオリジナルの構成を簡単に作ることができます。それがアイデアなんです。既存のラインナップに合う、あるいはそれに挑戦するような新しい製品を作っていこうと思っています。
入江:コレクションで言うと、日本別注についてホームステッドとLAFABLIGHTの間で話をしています。日本ではなかなか大きなサイズは取り入れにくいけれど、小さいシェードのもの、トライポット型の低めのタイプなど、ニーズに合わせて作ってもいいかもしれないと話をしています。そういう日本別注のリクエストは(お客様側からも)いただけるといいなと思います。
例えば、フランスだとシャンデリア型のものがあります。これは3つのペンダント照明を、オーク材のブーメランでつなげて吊り下げています。ただ、この大きさは日本だと天井高がないとなかなか設置できないので、小さいバージョンのものを日本のために作ってもいいかもしれないという話もしています。
僕ら(ホームステッド)も3年LAFABLIGHTの代理店をやっていて、やはり新しいコレクションよりは、最初のデザインのほうが日本になじみがあるので、訴求のスピードは速いです。照明というジャンルにおいては、新しいものをたくさん出しすぎてもなかなか難しいなと感じています。今後、徐々にジャパンシャンデリアのような新しいコレクションを作っていきたいというアイデアはあるので、ぜひ様々な要望をいただけるといいなと思っています。

こちらがシャンデリア型のLAFABLIGHT。ペンダント同様、シェードの形や編み方を自由に変えることができます。スタッフもこれはかわいい!と好評でした。
Q:日本のマーケットに対してどのような印象をお持ちですか。
ヴェロニク:面白いことに、ヨーロッパのお客様はよく「このデザイナーは日本人ですか?」と聞いてきます。実際のところ、日本と私たちの間には本当に深いつながりがあります。というのも、日本はデザインの国であり、多くの有名なデザイナーがいます。そして、私たちはそういった日本のデザイナーたちから大きなインスピレーションを受けています。この繋がりは、シンプルで無駄のないデザインへのこだわりに表れていると思います。
また、「匿名性のあるデザイン」という意味でも共通点があります。つまり、有名な名前ではなく、作品そのものとクラフトマンシップに焦点を当てているのです。
LAFABLIGHTは日本のインテリアにとてもよく合うと思います。ハンドメイドの良さは(日本での)写真撮影でも本当に映えて、素晴らしくエレガントです。日本式の住宅にすごくマッチしていました。
私たちは日本を訪れ、その独特の雰囲気を体験しました。そして、それがLAFABLIGHTの精神にどれほどぴったり合っているかを実感しました。日本にいることで、私たちの作品がここにしっくりと馴染んでいることを、より深く実感しています。それはまるで、私たちにとっての確かな証のように感じられます。
入江:少し前に、前川國男邸でLAFABLIGHTの撮影をしました。日本の方からの評判もすごく良かったですし、フランスではできないことなので、彼らもすごく感動してくれました。改めて日本との親和性が高いことを感じましたね。

前川國男邸での展示の様子①

前川國男邸での展示の様子②

前川國男邸での展示の様子③

前川國男邸での展示の様子④
メンテナンスについて
Q:メンテナンス方法を教えてください。
ロラン:こんな感じです。(指でブレイディングをはじいてみせる)

人差し指でブレイディングをはじくロランさん。
入江:ホームステッドでは、ほこりなどが溜まったらエアスプレーで飛ばすか、はたきのようなものではたき落としてくださいなどと案内しています。
ただ初めて対面で彼らに会った時にどうやってやるのと聞いたら、すごくシンプルな方法でした。ブレイディングを指ではじくだけだそうです。意外とラフにメンテナンスしているようです。(笑)
一本の糸で編まれていて切れたら修理できないのでセンシティブに伝えていましたが、逆に継ぎ目がないのでテンションが保たれていて安定しているようですね。
フランスのトレンドについて
Q:フランスのインテリアにおけるトレンドを教えてください。
ヴェロニク:フランスでは、家の中の需要に対して投資する人が増えています。現在のトレンドはとても自然でラフな素材に向かっています。素材そのものが一番重要で、次に形も重要です。たとえば、カーペットのようなテキスタイルと木材を組み合わせることがとても流行しています。そして誰もが美しいカーペットを求めています。
また、家具はそのまま使い続けつつ、カーペットやクッションカバーのように簡単に変えられるものを変えるのが好まれています。それが今の流れだと思います。加えて、家具などのメインとなるアイテムにはとても自然な色を選び、クッションカーペットでよりカラフルなアクセントを加える傾向があります。
幸運なことに、これは照明に関してはさらに当てはまります。人々は、自分の住まいに個性を持たせたいと考えており、プライベートな空間に、まるで傑作のような美しい照明を置きたいのです。
番外編:こぼれ話
スタッフ:ご自身で編んだことはありますか。
ヴェロニク:私(ヴェロニクさん)がやったらきっとぐちゃぐちゃになってしまうと思います。(笑)
なぜなら、糸が平たくなっていて(平紐)フラットな状態でねじれないように巻いていくことは至難の業だからです。常に同じテンションを張るのも難しいし、本当に長い糸なので大変です。また、修正が利かないので、どこかがねじれてしまったらその場所まで解いて編みなおさなければならなくなります。本当に心を落ち着かせて静かにやらないといけませんね。
スタッフ:シャルトルにも行ってみたくなりました。
入江:シャルトルという町は、「シャルトル大聖堂」というステンドグラスが有名な大聖堂があるようにガラス細工の町です。昔からガラス職人がいて、ミュージアムやワークショップがいたるところにあります。その影響なのか、フランスの中でもクリエイターが多くいる町で、ロランさんシリルさんもその街で育ったので、このようなプロダクトが生まれているんだなと感じます。パリから90km、1時間ほどで着くほど比較的近い場所なので、シャルトル大聖堂のステンドグラスを見たい日本人観光客なども多くいらっしゃいますね。
スタッフ:プロダクトが発表されて日本で取り扱いが始まるまでの期間がかなり短いですよね。
入江:2021年にメゾンエオブジェでLAFABLIGHTが発表される前から、僕はLAFABLIGHTとコンタクトをとっていました。実は、僕もヴィンテージコレクターで、フランスに住んでいたときにヴィンテージのブレイディングの照明を見て、自分のお店に絶対置きたいと思っていました。
フランス人の友達に名前を聞くと、名前はないといわれ、調べると「la lumière film et bois(ライトフィルムと木材)」と呼ぶ人もいれば「la lumière scandinavi(スカンジナビアの光)」と呼んでいる人もいる。固有名詞がないということがわかりました。それがとても面白いなと思ったし、作り方にも魅力を感じていたので、ヴィンテージのものをディスプレイ用に仕入れて日本のお店に置いていました。
すると売り物にしていなかったのに、お客様から売ってほしいという声をいただいて、何度か販売していました。そしてまた新しいディスプレイ用のものを探していたところ、どうやら新しいブレイディングのものを作っている会社があるという情報を得て、ロランさんにコンタクトをとったのが始まりでした。
なので、LAFABLIGHTの最初の取引先は日本でした。メゾンエオブジェで発表する前で、もちろんまだどこにも知られていないのに、日本の会社から突然連絡が来てかなり驚いたそうです。(笑)
スタッフ:面白い出会いですね。今は様々な国と取引されていますか。
ロラン:現在はアメリカ、スカンジナビア、そしてUK、スペイン、イタリアなどのヨーロッパなど世界中で販売されています。個人のオリジナルカスタムも世界中から依頼が来ています。
インタビューの締めくくりには、自然と皆が立ち上がり、カタログをめくったり照明を試してみたりと、和気あいあいとした空気に包まれました。ロランさん、ヴェロニクさん、入江さんの親しみやすいお人柄に触れ、あらためてこの出会いが特別なものに感じられました。
アールドヴィーブル展にも行ってきました!
2025年6月24日~26日に東京日仏学院にて開催された「アール・ド・ヴィーブル展」。インテリア、ファッション、ビューティの各分野からフランス企業が一堂に会し、伝統と現代が融合するフランス流のライフスタイル“アール・ド・ヴィーヴル”の魅力と独創性を紹介する展示会です。
新作のテーブルランプやポータブルランプ、日本では発売されていないウォールランプなども一挙に見ることができました。
テーブルライトがずらりと並ぶ展示エリアでは、新作のポータブルライトや、日本未発売の、土台にも木枠を使ったテーブルランプなどが紹介されていました。ライトが一堂に会する光景はとても迫力があり、多くの来場者が足を止めて見入っていました。ブースではデザイナーお二人に直接話を聞く人も多く、会場内でも特に注目を集める存在となっていました。


ダイニングシーンを彩るように、ペンダントライトがずらりと並んでいました。
形も編み方も一つひとつ異なりますが、まるでシャンデリアのような統一感があり、その見せ方に新鮮さを感じました。


フロアランプとウォールランプも展示されていました。フロアランプは国内ドラマでも使用され、話題になったアイテムです。
もともとはさらに細いスタンドが付けられていましたが、転倒の懸念から日本導入時にデザインを改良。足先に向かって細くなるスタンドへ変更したところ、その仕様が本国でも高く評価され、日本発のデザインがグローバル仕様として採用されました。
ウォールランプは海外限定で販売されており、壁に映る光の模様がまるでアート作品のようでした。星のきらめきを思わせる光は幻想的で、ホテルなどでも取り入れられているそうです。
2週に渡ってお届けしてきたインタビュー。みなさま楽しんでいただけましたでしょうか。
LAFABLIGHTが生まれたきっかけや、その美学・哲学を少しでも感じていただけたら、スタッフ一同も嬉しく思います。
これからのLAFABLIGHTにも、ぜひご注目ください!
LAFABLIGHT / ラファブライトについて
フランス中心部の街、シャルトルに拠点を構えるロラン・ルソーとシリル・マイエが手掛ける2021年に誕生したブランド。メイド・イン・フランスにこだわり、素材はパリから西に200キロほど離れた森に生息するナラ、ポプラ、ブナなどの木々から製材。組み立てや糸の編み上げに関しては、フランス国内の家具工房が一つ一つ手作業で丁寧に仕上げています。
LAFABLIGHT POP UP
LAFABLIGHT MOMENTS – 光と紡ぐ、特別なひととき –
2025年9月18日(木)~10月7日(火)の期間中、センプレ店頭にてLAFABLIGHTのPOP UPイベントを開催いたします!